大型本「輪舞するソウル」中上 健次・篠山 紀信著 （1985/12/1）

大型本です。高さ 26X27cm

中上は1984年、荒木経惟との共著『物語ソウル』を出版。

急激な近代化と人口流動が都市ソウルに「タル・トンネ(貧民街)」を生み、人々のどん欲なエネルギーがそこかしこに路地をはりめぐらしていた。


コチラは、 その「物語ソウル」の続きというべきものです。 ソウルの裏世界を、「路地」を再現したもよう。


複雑な血縁関係などを語る私小説的な小説や、被差別部落の"路地"をテーマにした、幻想的で神話的とさえ言われる熊野サーガシリーズを描いた中上ですが…

文中「ソウルの夕暮れ」の描写は実に甘やかです。

そのアンビバレンツに魅かれて思わず買ってしまいました。


引用します。
＞「外に出てしばらくビロードのような雑草を見つめ…略…

一面に萌え出た草の芽がビロードのように見えるのは、その桃色の光線が草の緑にかかっているからだ。

あたりにうっすらと桃色が重なり、色が濃く、まるで手で撫でたようなしっとりとした手触りまで感じさせるように見えるのだ。」

土の香りのする性衝動や直接的な性描写は強烈ですが、その背後には恍惚とさせる繊細な表現もあります。


中上健次は、部落のことを「路地」と表現する。羽田空港などで肉体労働に従事したのち、執筆に専念するようになりました。



初期は大江健三郎や石原慎太郎といった当時の新進作家から文体的な影響を受けましたが、一方で谷崎潤一郎に憧れていたという面もあり、その内部は複雑です。


中上健次は、部落のことを「路地」と表現しました。羽田空港などで肉体労働に従事したのち、執筆に専念するようになったのですが、後に知り合った年長の友人である柄谷行人から薦められたウィリアム・フォークナーの影響で先鋭的かつ土俗的な方法論を確立したといわれています。


紀州熊野を舞台にした数々の小説を描き、ひとつの血族と「路地」のなかの共同体を中心にした「紀州サーガ」とよばれる独特の土着的な作品世界を作り上げました。


✰1976年（昭和51年）、『岬』で第74回芥川賞を受賞。戦後生まれで初の芥川賞作家。

✰1992年、腎臓癌の悪化により46歳で死去。

ソウルでは 、李良枝どの交友関係もよく知られています。


♧破れ、シミなく全体にキレイな状態ですが…昨晩仔細に点検しますと…
3ページほどに鉛筆によるライン有ります

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